• HOME
  • NEWS
  • IROAST Researchers - 松尾 拓紀 准教授

NEWS

IROAST Researchers - 松尾 拓紀 准教授

Apr 20, 2022

English     Japanese

電気エネルギー貯蔵能力の高い強誘電体の開発で、
医療分野や環境負荷低減にも貢献

松尾 拓紀 テニュアトラック准教授
国際先端科学技術研究機構(IROAST)
(IROAST在籍期間:2021年6月~ )

 

身の回りにあふれる電化製品。その中には「強誘電体」と呼ばれる、非常に短い時間で電気を蓄えたり放出したりできる材料が搭載されています。より性能の高い強誘電体を開発することで、私たちの暮らしをより豊かなものにしようと研究しているのが、松尾拓紀准教授です。

 

■ 電子機器の小型高性能化につながる、強誘電体の開発を目指す

Q: 研究内容について教えてください。

松尾:強誘電体の開発をしています。電気や電波を扱う製品には必ず含まれている積層セラミックコンデンサーの材料となるのが強誘電体です。積層セラミックコンデンサーは、非常に小さなもので、自動車やスマートフォン、パソコンには数百個も搭載されています。強誘電体を合成する元素の組み合わせを変えたり、あえて不純物を混ぜて合成したりすることで、電気エネルギーの貯蔵能力が高く、かつ長期的に使える強誘電体の開発を目指しています。

 強誘電体の研究は大学生の時代から行っていますが、IROASTに来る前の4~5年間ほどは、違う分野の研究に携わっていました。一旦離れて違う分野を知ったことで、新たな視点を持てるようになり、研究に生かせていると感じています。

 

Q: 強誘電体の開発をどのように発展させていきたいですか?

松尾:エネルギー貯蔵容量と貯蔵効率を両立できる強誘電体の開発に取り組んでいきたいです。強誘電体のエネルギー貯蔵容量が高くなれば、積層セラミックコンデンサーの小型大容量化が進み、さまざまな電子デバイスの小型高性能化につながります。ウェアラブル端末もより小さくなれば、私たちの暮らしはより豊かになるだろうし、人体に埋め込むタイプの医療デバイスの開発にも貢献できると考えています。

 また、エネルギー貯蔵効率が高くなれば、電子デバイスの消費電力や電力損失を抑えることができます。エネルギーロスの少ない電子部品、電子機器を作ることができるので、環境負荷の低減にもつながると考えています。

強誘電体を使用した積層セラミックスコンデンサ

 

■ 若手研究者を手厚くサポートしてくれる制度や設備がある

Q: IROASTに来たきっかけと魅力を教えてください。

松尾:自分の研究分野にマッチした求人の公募が出ていたことがきっかけです。また、熊本大学は材料分野の研究が強い大学なので、自分の経験値を高めるためにも熊本大学のIROSTは最適な場所だと考えました。

 実際に来てみて、自分と同じような材料の研究をされている先生方や、違う研究分野の先生方からさまざまな刺激を受けています。また、一緒に研究室を運営する先生の研究リソースや研究設備などを使わせていただいて、一人では決してできなかった研究をすることができていると感じています。今後も、そういったものを活用させていただきながら、研究の規模を広げていきたいと考えています。

 

Q:熊本での暮らしは、いかがですか?

松尾:IROASTに来る前は、関東にいました。熊本は、自然環境と近いところが良いですよね。それでいて、暮らすのに不便さも感じません。住みやすくて、居心地が良いですね。休日は、阿蘇へドライブに行ったり、子どもが小さいので、竜田山や農業公園に連れて行って遊んだりしています。

 

Q: 若手研究者へメッセージをお願いします。

松尾:他の大学や研究機関では、若手の研究者は、ベテランの先生の下について研究することが多いですが、IROASTでは若手も一人の研究者として、手厚く支援をしてくれます。今、韓国のベンチャー企業とも国際共同研究をしていますが、IROASTのリサーチユニットの形成支援があったからこそ。新しい研究のきっかけを作ってくれたり、研究予算を支援してくれたりと、IROASTは若手研究者にとって、とても魅力的な場所です。

 


リンク
- 熊本大学 大学院先端科学研究部 情報・エネルギー部門 野口・松尾研究室

Page top