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IROAST Researchers - 大平慎一教授

Aug 19, 2022

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暮らしや生命に関わるイオンを分析、
産業や医療分野にも貢献

大平 慎一   教授
IROAST国際共同研究教員/大学院先端科学研究部(理学系)

 


 

私たち人間の60%は水でできていると言われています。また、私たちが暮らす地球も「水の惑星」と呼ばれていて、私たちの暮らしに水は欠かせません。水にまつわる研究は様々ありますが、水に含まれるイオンという化学形態に注目した研究をしているのが、大平慎一教授です。

 

■ イオンの分析から始まり、様々な研究へ展開

Q: 研究内容について教えてください。

大平:イオンを対象にした様々な研究を行っています。一つは、海や河川、飲料水、人間の尿や血液など、さまざまなサンプル内のイオン成分を測る研究です。測定は装置を使って行うのですが、サンプル内には装置を劣化させる成分が入っているものもあり、あらかじめ取り除く必要があります。その工程を現在は手作業で行っているのですが、その作業を自動でできるシステムを作っています。また、測定の手法を確立する研究も行っています。一つは、人間の体に必要なクロムと、発がん性のある六価クロムを分けて測定する手法。もう一つは、従来の装置では測れない微量なイオンを測定する手法です。この測定は、微量なイオンの差で製品に大きな影響を与える半導体産業で活用されます。医療分野にも携わっています。がんを調べるPET検査に使われる薬剤を合成するための放射性同位体を精製する研究です。スタートはイオンの分析でしたが、それから薬剤の合成や産業の品質評価などに展開しています。

 

 

■ IROASTの制度を利用して、海外で共同研究ができた

Q: 熊本大学の前はアメリカの大学にいらっしゃったそうですね。

大平:2006年から3年間アメリカにいました。国際共同研究の多くは、このときに出会ったメンバーと取り組んでいます。これまで、海外の海水をサンプルにした共同研究や、アメリカの研究者と測定手法の確立などを行ってきました。異なるフィールドの人と研究すると、対象や測定の手法が異なっていて面白いですね。

 

Q: IROASTで国際共同研究をする良さは何ですか?

大平:IROASTの制度を利用して、海外の研究者と直接会えることです。コロナ禍になってからはオンラインのみでの交流ですが、直接会って話したり、研究の様子を見たりすることで理解を深められます。分析装置の写真を送ってもらうこともありますが、スケールやどんな動きをするのかは、やはり写真だけでは分かりません。また、直接会うと論文にはないデータを見ることもできて、そこから新しい研究につながることもあります。

 

Q: 今後、先生の研究がどのように発展していく可能性があるとお考えですか?

大平:私の研究は分析化学と呼ばれる分野ですが、分析だけでなく、薬剤などを分離させたり、合成したりして、イオンの持つ可能性を展開していければと考えています。研究室に在籍しているインドネシアの学生や、9月にインドから来るポスドク(IROAST特別研究員)は、私の研究を展開できるような研究テーマに取り組んでいます。彼らと一緒に、今後どう展開していくのかが楽しみです。

 

研究室で開発した前処理フリーな金属イオン分析システム

 

■ テニュア・トラック制度などを利用して、研究に没頭してほしい

Q: 休日はどのように過ごされていますか?

大平:どちらかといえば田舎の方に自宅があるので、もっぱら家の周りの芝刈りや草刈りをしています(笑)。スポーツをするなどのリフレッシュ方法ではありませんが、きれいになるとスッキリしますね。研究で行き詰ってしまったときも、芝刈りや草刈りをしていると、ふとアイデアが浮かんだりします。

 

Q: 若手研究者へメッセージをお願いします。

大平:人生の中には、何かにどっぷりと没頭する時期が必要だと考えています。学生時代はそのチャンスで、自分自身を振り返ってみても、大学時代やアメリカにいたころは、今以上に研究に没頭していたように感じます。些細なことでも、自分で学ぼうとすることが大切です。IROASTにはテニュア・トラック制度があり、そういう制度を利用すると、よりどっぷりと研究に没頭することができるのではないかと思います。

 

IROAST研究クラスターメンバーのJian Ma先生を訪問(厦門大学にて)

 


リンク
- IROAST Staff - 国際共同研究員
- 大平研究室

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