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IROAST Researchers - 石田 喬志 准教授

Apr 26, 2022

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遺伝子情報をコントロールして、
生物のサイズを自在に変化させる技術獲得を目指す

石田 喬志 准教授
大学院先端科学研究部(理学系)
(IROAST在籍期間:2016年6月~2021年5月)

 

 

この世には、さまざまな大きさの生物が存在します。生物の大きさを自在に操ることができれば、生物学的分野だけでなく、農業や畜産・水産分野にも貢献する技術になります。2021年6月にテニュアを取得した石田喬志准教授は、生物のサイズコントロール技術の獲得を目指しています。

 

■ ゲノム編集法を使い、遺伝子の機能を明らかに

Q: 現在の研究内容を教えてください。

石田:生物のサイズコントロールについて、特に個体や細胞の大きさがどういうふうに作られているのか、「核内倍加」という現象に焦点を当てた研究を行っています。例えば人間の場合、父親と母親から半分ずつ遺伝子情報が子どもに引き継がれるのですが、遺伝子情報が増幅されると細胞が大きくなり、個体としても大きくなるメカニズムになっています。非常に不思議な現象なのですが、なぜそうなるのか、まだ解明できていない部分があります。ゲノム編集法を利用して、遺伝子の新しい機能を明らかにすることを目指しています。

 

Q: 以前は、今とは違う研究をされていたのですか?

石田:生物の形に興味があって、植物をメインにさまざまな研究を行っていました。その中で特に成果につながったものは、今の研究にも活用しているゲノム編集法の獲得です。2020年にノーベル賞の対象となったCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)という技術ですが、私はこれから成長する技術だと考え、 2013年から利用を模索し、IROASTに所属した期間で軌道に乗せることが出来ました。今ではスタンダードになってきた技術ですが、私はそれを早期に使いこなせるようになったので、現在の研究はIROAST時代の研究の次のステップに進んだ内容になります。

 

■ IROASTで、大学の先生とも交流、共同研究ができた

Q: IROASTに来られた理由は?

石田:2011~2012年ごろまで、横浜の理化学研究所植物科学研究センターにいました。その間、オランダのユトレヒト大学に短期留学し 、帰国後に奈良先端科学技術大学院大学を経て、2013年から研究員として熊本大学大学院自然科学研究科に勤めていました。そして、IROASTの公募があるのを知って、内容を見たら自分にぴったりだと思い、応募しました。

 また、熊本大学理学部は一学科制なので、分野を超えてまとまりがあります。そのため、教員同士の交流も活発で、アクティブな研究ができる環境が整っています。この研究環境が良く、熊本大学で研究を続けたいと思っていたこともIROASTに応募した理由です。

 

Q: テニュアトラック制度の良さは?

石田:設備の整備や研究予算をつけるなど、研究に集中できる環境を与えてくれることはもちろんですが、大学の先生方が仲間として接してくださったことがよかったと思っています。いろんな先生方が声をかけてくださって、研究に対してアドバイスをしてくださったり、サポートをしていただいたりしたこともあります。

 また、理学部の先生の中にはIROASTに関わっている先生もいらっしゃって、化学の石川勇人先生(現在は千葉大学)、生物学の谷時雄先生、IROASTにいらっしゃった画像生物学の檜垣匠先生と共同研究を行いました。この研究では、異なる分野の研究者が集まったからこそ得られた結果が出て、IROASTと理学部両方の大きな成果につながりました。大学の先生と一緒に研究できるのも利点です。

 

■ 海外との積極的な交流で、共同研究につながったことも

Q: 国際共同研究など、海外との交流はいかがでしたか?

石田:ゲノム編集法の研究発表の半分以上は、他の研究グループとの共同研究で公表され、さらにその全てが 海外の研究グループとの共同研究でした。一緒に共同研究をした国は、アメリカ、中国、ドイツ、ノルウェー など、数えたらきりがないくらいたくさんあります。

 また、IROASTからの積極的な後押しもあり、海外で研究成果の発表をしたこともあります。同じような研究をしている海外の研究者とも出会えますし、「お前の方が進んだことをやっているな」と評価していただけたこともあります。

 海外に住む外国人研究者や日本人研究者を大学に招いて交流をしたこともあります。このときは、授業の一環として学生も参加させ、研究はもちろん、海外の生活についても話をしていただきました。この交流から共同研究につながったこともあります。

 

Q: 若手研究者へメッセージをお願いします。

石田:テニュアトラックの期間は、自分の力を試す期間ではありますが、予想もしなかった出会いもあり、幅広い分野の研究者たちと刺激し合いながら交流ができます。IROASTに来ると、熊本大学の先生と一緒に研究ができますので、ぜひ一緒に研究をしましょう!


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- IROAST Staff

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