English Japanese
誰もが一度は持つ
宇宙に対する疑問への解明にチャレンジ
高橋 慶太郎 教授
IROAST国際共同研究教員/大学院先端科学研究部(理学系)
小惑星探査機の打ち上げや宇宙飛行など、度々話題になる宇宙のこと。きっと誰しもが一度は宇宙に対して何らかの疑問を持ったことがあるはず。その疑問を解明しようと研究をしているのが、高橋慶太郎教授です。
■ 宇宙で最初に生まれた星や地球外生命を探し求める
Q: 研究内容について教えてください。
高橋:私の研究は天文学と呼ばれる分野で、望遠鏡を使って宇宙を観察し、宇宙の現象を解明する研究を行っています。具体的には、電波望遠鏡という人間の目に見えない電波をとらえる望遠鏡を使って、主に2つの研究に取り組んでいます。
一つは、宇宙で最初に生まれた星の解明です。今から約138億年前に宇宙ができたとされていて、太陽や地球が誕生したのが約46億年前。しかし、それよりももっと前に生まれた星があるはずだと考えられています。現在の予測では、宇宙ができた約1億年後に最初の星が生まれたと考えられているのですが、それは宇宙の果てにあり、現代の技術ではまだ観測することができません。しかし、電波望遠鏡を使うと、星ができる素になるガスを観測することができます。昔の宇宙のガスを観測できれば、最初に生まれた星の解明につながると考えています。ただ、電波望遠鏡では、スマートフォンから出る電波など余計な電波も見えてしまうので、観測したいシグナルとそうでないものを区別する必要があります。
もう一つは、地球外生命を探す研究です。先ほど、電波望遠鏡ではスマートフォンの電波が見えると話しましたが、地球からは様々な電波が漏れ出しています。つまり、惑星から漏れ出している電波を検出できれば、そこは文明のある惑星であり、何かしらの知的生命が存在すると考えられます。銀河系には1兆個の惑星があると言われています。おそらく他にも地球のように生命が存在する惑星があるはずです。
Q: 今の研究を始めたきっかけは何ですか?
高橋:子どものころから宇宙に興味がありました。ページがバラバラになるほど、図鑑を繰り返し読んだり、テレビの宇宙特集番組を繰り返し見たりしていました。大学では、その番組に出演されていた先生の研究室に入りました。
今、オーストラリアに新しい電波望遠鏡を建設する計画に参加しています。今の研究は、その望遠鏡を使った研究の準備にあたります。電波望遠鏡の建設には、ヨーロッパや中国、アフリカなどからも研究者たちが参加していて、より性能が良いものをつくるために議論をしながら進めています。
■ 海外との交流を支援し、研究がしやすい環境を整えてくれる
Q: IROASTの良さは何ですか?
高橋:海外から研究者を招へいしたり、海外へ渡航する費用を支援してくれたりして、海外との交流に力を入れているところです。オーストラリアでの電波望遠鏡建設の件も応援してくださっています。私は他にもインドやアメリカとも共同研究を行っています。これらは自分から声をかけたり、かけられたりして始まったものではありますが、IROASTからは海外との研究がしやすい環境を整えていただきました。
海外からの学生を受け入れるインターンシッププログラムも良いですよね。海外の研究者に紹介しようと思っています。
Q: 他の研究以上に成果が見えるまで長い時間を要する研究だと思いますが、これまで続けられてきたモチベーションは何ですか?
高橋:「宇宙人はいるのか?」「月にウサギはいるのか?」、そういう素朴な疑問を誰しも一度は持つと思いますが、それを突き詰めることはなかなかできません。それにチャレンジできているということに魅力を感じて研究を続けています。
■ 素朴な疑問を突き詰め、没頭できるのは、研究者の醍醐味
Q: 休日はどのように過ごされていますか?
高橋:子どもが大きくなったので、最近は少なくなりましたが、家族で出かけます。出かけると言っても、ショッピングモールやゲームセンターですが(笑)。江津湖も何度か行きました。熊本は都会過ぎず、田舎過ぎず、子育てするのに良い環境ですよね。
Q: 若手研究者へメッセージをお願いします。
高橋:私が携わっている電波望遠鏡の建設計画は、どこでもできることではないので、意欲のある研究者の皆さんと一緒に議論を交わしたいですね。疑問に思ったことを突き詰められること、それに没頭できるのは、研究者ならではの醍醐味です。素朴な疑問を突き詰めることにチャレンジしていきましょう。
リンク
- IROAST Staff - 国際共同研究員
- 高橋研究室