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IROAST Researchers - 古谷 将彦 准教授

Mar 29, 2023

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植物の根、土壌環境、微生物
3つのネットワークメカニズムを追究

古谷 将彦  テニュアトラック准教授
国際先端科学技術研究機構(IROAST)
(IROAST在籍期間:2022年8月~ )

 


 

IROAST着任前から、植物の根と土壌環境の相互作用を分子・細胞レベルで研究しているのが、古谷将彦准教授です。IROASTに着任後は、植物の根と土壌環境に加え、微生物・センチュウが植物の根に寄生する仕組みも明らかにする研究が始まっています。

 

■ 幼い頃から興味があった「植物の動き」。農業被害軽減も見据えた研究に着手

Q: 研究内容について教えてください。

古谷:地面の下にある植物の根と、微生物、そして土壌環境という3つが、どのように相互作用しているのか、そのメカニズムを明らかにする研究を行っています。

IROAST着任前は、中国福建省にある福建農林大学で、植物の根と土壌環境を研究していました。中でも、土壌の塩が高濃度になった時、植物の根がどう反応するか、シロイヌナズナというモデル植物を使って観察していました。例えば、土壌に塩分があると、基本的に根はそれから逃げるように伸びていきます。なぜ、このような反応が起こるのか。そのメカニズムを調べていました。

IROASTに着任後は、微生物の影響を含めて研究しています。センチュウと呼ばれる、植物に感染して害を与える微生物です。

研究テーマは多岐にわたりますが、その一つが植物とセンチュウの感染機構の解明です。センチュウは、植物の根に入ると、根の中のある細胞を見つけ、そこに針を打ち込んで細胞の性質を変えて自分が栄養を吸収する拠点にします。センチュウは、がん化したような細胞を複数個作るのですが、それがどんなもので、どんな仕組みでできるのかはまだ何も分かっていないんです。根野菜が寄生されたら、売り物になりません。センチュウが植物の細胞を変えてしまう仕組み分かれば、センチュウが針を打ち込んでも反応しない作物を作ることができ、農業被害を軽減できると考えて研究しています。

 

Q: 現在の研究を始めたきっかけは?

古谷:小さい頃から、植物の動きに興味がありました。その中でも、光が来る方向へ植物が伸びるのはなぜなのか、小学生の時に興味を持ち自由研究でも取り組みました。

大学で植物系の研究室に入り、本格的に研究を開始。最初は、根がなぜ重力を感知できるのかがテーマでした。植物は、例え横向きに置かれても、根は下に伸びます。その仕組みを明らかにしたいと研究していました。その際、重力以外に何か影響するものはないかと考えたことが、塩に着目したきっかけです。

重力の場合、植物の根は引き寄せられますが、塩の場合には根は逃げます。塩から離れる根の機構や、方向を制御するような遺伝子を見つけたいと考えて研究を始めました。これはIROAST着任後も続けていて、塩からより逃げやすい作物や、塩をよく吸着する作物、逆に塩に向かっていく作物を作れないかとも考えています。

 

■ 十分なスペースもありがたい。研究に集中できる環境があるIROAST

Q: IROASTの良さは、どのようなところですか?

古谷:研究支援が充実していて、本当にいろいろとサポートして頂けてありがたいです。論文支援もすごいです。広い研究スペースを頂けるのも助かっています。自分の場所がちゃんとあると研究に集中できます。着任後のスタートアップに対し、研究費の面も含めて支援が手厚いのも本当に助かっています。

また、アメリカの先生と、国際的なリサーチクラスターを作る話も進めています。IROASTには研究の国際連携も支援してくれる仕組みがあるので、活用していこうと考えています。

Q: 今後の展望は?

古谷:大学院先端科学研究部の澤進一郎教授や相田光宏教授(元IROASTテニュアトラック教員)とは以前から知り合いでしたが、同じ大学に所属したことで、また新しいサイエンスが生まれると考えています。私は澤教授がセンター長を務める生物環境農学国際センターにも所属していて、澤教授と一緒に農学的な研究を進めています。また、熊本大学の産業ナノマテリアル研究所に所属する伊田進太郎教授や速水真也教授らとは、ナノマテリアルである酸化グラフェンを土壌改良剤として使う研究も進めています。

これまでは、理学系の基礎研究を実験室にこもって進めるスタイルでしたが、熊本という農業県に来て、農業のフィールドが近いことはとてもプラスになると考えています。実際、熊本県農業研究センターに出向くこともありますし、学生の農業実習も始める予定になっています。現場に出ることで人とつながり、新しいアイディアが生まれる。熊本に来てから、そういうことが増えたと感じています。

また、私は中国で、スーパーフードと言われるキヌアの研究も始め、それも継続しています。植物は、胚乳に蓄えられたでんぷんを分解し栄養にして発芽しますが、キヌアの場合は、他の植物とは異なる場所にでんぷんを蓄積する。それをどのように分解して利用するのか、そのメカニズムを調べています。また、キヌアはもともと塩にとても強い植物で、むしろ塩が土壌に含まれていたほうが元気になります。その仕組みも明らかにしたいと考えています。

 

■ 家族一緒に穏やかに暮らせる、自然が近い熊本

Q: 熊本での暮らしはいかがですか?

古谷:休日は家族と過ごすのですが、自然がすぐ近くにあることが気に入っています。立田山にはもう、子どもと何度も行きました。私の赴任地に合わせ、住む環境や学校が何度も変わる子どもが一番大変だと思いますが、現在は熊本にとても馴染んでいるようです。

 


リンク
- IROAST Staff - Tenure-track Associate Professor

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