IROAST Researchers　－　小林牧子教授

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工学系の技術を医療へ応用。
超音波センサーで、ストレスフリーな医療へ

IROASTでは国際共同研究が盛んに行われています。小林牧子教授が取り組んでいる、医療用の超音波センサーの開発もその一つ。日本とシンガポールを行き来しながら、新しい医療用センサーの実用化を目指しています。

■ 自宅でモニタリングができる超音波センサーを開発中

Q: 研究内容について教えてください。

小林：当時IROASTの客員教授だったシンガポールのU Rajendra Acharya先生（現・卓越教授）との共同研究で、医療用の超音波センサーの開発を行っています。このセンサーを体に貼り付けておくと、AIが測定データを判定し、異常がある場合は病院に報告がいくような仕組みにしたいと考えています。先日、最新のセンサーを持ってシンガポールに行ってきたのですが、心臓の血管の様子がリアルタイムで観察できそうだと評価していただけました。

このセンサーの特徴は、柔らかくて、体の貼りたい部分に貼れて、ストレスフリーなところです。従来の医療用センサーは長時間付けておくとストレスがかかるものでした。将来的にはワイヤレスにしたいと考えています。また、コロナ禍の影響で、自宅でモニタリングできるようにしたいという需要が増えました。超音波センサーなので、X線のように被ばくをせずに何度もモニタリングできます。

Q: 医工連携に取り組まれようと思ったきっかけは何ですか？

小林：元々工業用の圧電センサーの開発をしていて、その技術は医療にも応用ができると考えていました。しかし、医師の方々や医療関係の企業とのつながりがなかったので、難しいだろうと思い、踏み出せずにいました。また薬事法や資金面など、クリアしなければならない課題がいくつもありました。しかし、医療分野で超音波センサーの需要が出てきたことと、Acharya先生との出会いがきっかけで実現できました。シンガポールは非常に決断が早く、このセンサーが使えるものになったら、すぐに実用化できる可能性があります。

■ IROASTのおかげで医工連携が実現。超音波センサーの実用化と普及が夢

Q: IROASTで研究されて良かったことは何ですか？

小林：なんといっても、当時の研究機構長の檜山隆先生がAcharya先生を紹介してくださったことですね。また、機器の購入や渡航費などを支援していただけたことも助かりました。工学系の私が、医療用機器が欲しいと申請しても予算はおりにくいですが、IROASTで医療系の実績づくりができるのも、とてもありがたいです。

Q: 今後、超音波センサーをどのように発展させていきたいですか？

小林：超音波センサーが実用化して、普及していくのが夢です。実用化すれば、家にいながら血管や肺のモニタリングができるので、病院に行く手間が省けるし、お医者さんの負担も軽減できます。また、心拍や呼吸のモニタリングもできるので、乳幼児突然死症候群（元気だった赤ちゃんが、事故や窒息でもなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気）の発症リスクのある子どもに使うのも有効だと考えています。子どもが寝ている間、ずっと子どもの様子を見ておくことは不可能です。家庭はもちろん、保育園でもお昼寝の時間に活用すれば保育士の負担軽減にもつながります。また、私は妊娠中に胎動カウントが負担になっていました。将来的には、病院や役場から超音波センサーが妊婦さんに配布され、センサーで胎動カウントができるようになるといいなと思っています。

■ 海外で研究をしたい人は、ぜひIROASTへ！

Q: 小林先生のリフレッシュ方法を教えてください。

小林：すき間時間にスマホゲームをしたり、スマホで電子漫画を読んだりしています。学生時代はのめり込むほどゲームをしていました。当時ハマっていたゲームの音楽がYouTubeで聴けるので、音楽を聴きながら、当時の思い出に浸りつつ仕事をしています（笑）。また、コロナ禍で今はやっていませんが、歌うのも好きです。聖歌隊でオペラを歌っていたこともあります。

Q: 若手研究者へメッセージをお願いします。

小林：IROASTは、質の高い海外の研究機関と多く連携しています。やりたい研究に関連する海外の研究者を紹介してもらえたり、異分野の研究者と交流したりすることもできます。海外の学生はハングリー精神が強く、海外に行くと非常に刺激を受けます。海外で研究をしたいと思っている方は、ぜひIROASTの制度を利用して、挑戦してください。

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